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ボランティア協会の案内

中間支援NPOです

━━━理事長 小野田 全宏

  

風の欄を担わせていただき、その都度様々な出会いと気付きに驚いてきました。風の原稿書きは、自分自身への問い掛けでもあります。その時々を振り返り原稿書きに挑戦するんです。
年末22日から「海外でのボランティア活動に学ぶ高校生スタディツアーINアジア」に同行者としてタイ国へ出掛けます。私がタイ国へ初めて飛んだのは43年前の1981年1月でした。カンボジア難民キャンプと、タイ国内での教育・文化活動と職業訓練を中心とした自立のための支援活動をしている日本のボランティア団体を視察したことがキッカケで、今日まで関わりを持たせていただいて来ています。ボラ協は、今年4月に発足して47年を迎えます。私にとって、この47年は全てが初・初・初の挑戦の連続であったと振り返っています。その時々に出逢ったお一人お一人に支えていただいて来たことが、今日に繋がっていると認識しています。
昨年、私が最も衝撃を受け、時間と心身を最も割いた出来事は、旧統一教会に関わり死を目前にしたAさんと関わる事案でした。ある日、Aさんと関わりを持っていたBさんから私の携帯電話に、自宅前の公園でホームレスの方二人が死んでしまうかも知れないとの連絡がありました。Aさんはその二人のうちのお一人でした。Aさんのご自宅の連絡先をBさんに確認し電話すると、Aさんの夫は奥様が1年2ヶ月余出掛けたままで行方が分からず困っていたことがわかり、事態は急展開していきました。新聞やテレビ等の報道で、旧統一教会に関わる事例で家族が多額の金品を寄贈し、家庭崩壊が起きているとの報道を知っていたものの、直接的な相談や事案が持ち込まれて来ることはありませんでした。
その後、Aさんの夫が九州から静岡に来られ、病院に搬送されたAさんと無事に再会され、2ヶ月後に自宅のある九州の病院に転院することが出来ました。Aさんは緑内障が悪化し失明状態の中での帰省になってしまいましたが、ご家族の許に帰ることができ、今後への展望も持つことができるまでになって来ました。今後は、旧統一教会に納めた高額な金品の返却や、緑内障を患い適切な治療も受けられなかったことやアルツハイマー症を患うまでになったことへの対応等について、一つ一つ正していかなくてはなりません。
ボラ協の設立から47年を迎える今、持ち込まれる相談は限りなくあり、その一つ一つへの対応も難しいものが増えています。今回4年ぶりに訪問するタイ国でも、スタディツアーを快く受け入れて下さっているスリン県サワイ村やタクラン村の方々との顔の見える関係を、丁寧に丁寧に守り応えていかなくてはなりません。2010年に癌を発症しタイ国から静岡に急遽搬送し、聖隷三方原病院ホスピスに入院後に亡くなったスタディツアー育ての親、佐々木智司さんの墓前に、そして、私が43年前に初めてタイ国を訪問した時からサワイ村での宿泊先として自宅を提供して下さった、現シーカーアジア財団理事長のティラポンさんの奥様ポンシーさんの墓前にもお参りして来ます。また、脳梗塞に倒れ治療に専念されているタクラン村前村長のプラキットさんのお宅もお訪ねし、一日も早く元気になられる様にお見舞いをして来ます。
暗いニュースが続いていますが、大切なことは他人様との信頼関係の醸成ではないかと思っています。多くの皆さんに支えられ、今日が迎えられていることを忘れず一日一日を大切にして参ります。新年もどうぞ宜しくお願いします。            
           (小野田全宏)  
  ※この原稿は12月18日に執筆しました          

  • (ぼらんてぃあMAIL 2024年1月号より)

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理事長 小野田全宏